降圧剤の種類と副作用

降圧剤は高血圧による危険な合併症にの回避に欠かせない薬。しかし、副作用もあるため降圧剤に依存することなく、食事療法や運動療法も行って高血圧を改善しよう!

降圧剤の種類と副作用

降圧剤とは?

降圧剤とは血圧を降下させる薬で血圧降下薬とも呼ばれており、動脈硬化などにより上昇した血圧を下げることで、もろくなった血管が破裂するなどの危険を回避するための薬です。

高血圧は発症期間が長期に至るほど、また、血圧の数値が高いほどに、脳梗塞や心筋梗塞などの発症リスクが高まるため、薬剤によってこれらの発症を予防します。

血圧が異常な上昇を示した時は注射による投与、それ以外では服用によって血圧を安定させます。

降圧剤の独断での中断や停止は危険!

降圧剤には様々な副作用が報告されており、服用者全員が必ず発症するわけではありませんが、降圧剤の服用にはリスクがあるため注意が必要なのです。

しかし、降圧剤の副作用が怖いからといって、医師に相談することなく独断で降圧剤の服用を停止するのも危険ですし、降圧剤の効果によって血圧が安定した場合も、独断での使用停止は危険なのです。

降圧剤の服用を停止、もしくは中断する場合は独断ではなく、必ず医師に相談することをすすめます。

現段階において降圧剤には確かに副作用というデメリットも存在します。しかし、高血圧を要因として発症する命に関わる重篤な病気から、自分を守るために必要不可欠な薬であることも確かなことなのです。

降圧剤は一生止められない?

降圧剤は決して止められないわけではありません。高血圧の症状が改善できれば、降圧剤の使用を停止することは可能です。

そもそも、降圧剤は一時的に血圧を下げる薬であり、飲み続ければ高血圧の症状を完治できるという薬ではありません。

高血圧患者がそのまま何もせず降圧剤に頼りきりになれば、一生のみ続ければいけない薬となってしまいます。

しかし、高血圧患者が食事療法や運動療法によって高血圧を改善することができれば、降圧剤の使用を止めることは可能なのです。

現実的にはダイエットと同じように、改善には精神的なストレスもあるため、挫折することが多く、楽な薬物療法に依存する人が多いことも実情ではあります。

降圧剤の選択

高血圧の治療薬として主に使用される降圧剤は6種類で、カルシウム拮抗薬、ARB、ACE阻害薬、利尿剤、β遮断薬、α遮断薬があります。

そのうち、治療として使用される第一選択薬はカルシウム拮抗薬、ARB、ACE阻害薬、利尿剤の4種類で、β遮断薬とα遮断薬は第一選択薬からは除外されています。

日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン2014」によると、高血圧に対する薬物療法として降圧剤は以下のように使用されます。

積極的適応がない高血圧
STEP 1 カルシウム拮抗薬、ARB、ACE阻害薬、利尿剤のいずれか
STEP 2 カルシウム拮抗薬とARBもしくはACE阻害薬、カルシウム拮抗薬と利尿剤、ARBもしくはACE阻害薬と利尿剤のいずれか
STEP 3 カルシウム拮抗薬とARBもしくはACE阻害薬と利尿剤
STEP 4 カルシウム拮抗薬とARBもしくはACE阻害薬と利尿剤とβ遮断薬もしくはα遮断薬、アルドステロン拮抗薬、さらに他の種類の降圧剤

各降圧剤によって効果は異なるものの、共通する副作用として頭痛、めまい、むくみ、腎機能や肝機能への障害がみられるようです。また、ED(勃起不全)、精力減退、不感症などが確認されています。

しかし、当然ですが降圧剤の副作用は服用者全員に必ず起こるものではなく、場合によっては全く副作用が起こらない場合もあります。

カルシウム拮抗薬とは?その作用と副作用について

降圧剤の中で最も有効性が高く、比較的安全性も高いことから処方される機会の多い降圧剤がカルシウム拮抗薬(Ca拮抗薬)です。

血流を改善する効果があるため、脳や腎臓の疾患などにも応用されています。高齢になるほど副作用がでやすくなるため、服用開始は少量からを基本としています。

カルシウム拮抗薬の作用

カルシウムイオンが血管の筋肉(血管平滑筋)に作用することで、血管の収縮を引き起こし、血圧を上昇させる働きがあります。

この作用を防ぐためカルシウムイオンが血管の筋肉に流入するのを阻害し、血管の収縮を抑制、筋肉の弛緩による血管の拡張作用で血圧を下げる作用があります。

カルシウム拮抗薬の副作用

副作用には頭痛、顔のほてり、動悸、むくみなどが多く、これらは血管の拡張作用が影響しています。徐々に慣れてきますが、症状がひどいときは医師に相談しましょう。

重い症状が報告されるケースは稀ですが、肝機能障害などが発生するケースもあるようです。

また、グレープフルーツと飲み合わせると、グレープフルーツの栄養成分によりカルシウム拮抗薬の血管拡張作用が強くなり、頭痛や動悸などの副作用があらわれやすくなるため、服用前後の摂取は控えるようにしましょう。

主に使用されるのがジヒドロピリジン系

このタイプの降圧剤には末梢血管を拡張する作用はありますが、心臓へはあまり影響しないという特徴があります。また、動脈硬化の進行を抑制する作用もあります。

主なものには強力で即効性のあるアダラート、薬の作用時間が長いノルバスク(商品名はノルバスクだが、成分名はアムロジピンまたはアムロジン)などがあります。

ARBとは?その作用と副作用について

カルシウム拮抗薬に次いで使用頻度が高く、体内の血圧上昇システム(レニン-アンジオテンシン系)に作用する降圧剤がARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)です。

カルシウム拮抗薬に比べると降圧効果はやや劣るとされていますが、他の降圧剤と比べても副作用が少ないというメリットがあり、単独でも併用でも使用しやすい降圧剤です。

この降圧剤は開発されてからまだ歴史が浅く、降圧剤の中でも最も新しい薬剤になります。他の降圧剤と比べても薬価が高いため、経済的ではないというデメリットがあります。

ARBの作用

血圧を上昇させる作用をもつ「アンジオテンシンⅡ」と、アンジオテンシンⅡの受容体とが結合するのを阻害して、血圧の上昇を抑制することができます。

心臓や腎臓の保護作用、インスリン感受性を改善する作用があり、高血圧だと心臓や腎臓に関する病気や糖尿病を合併しやすくなりますが、これらの病気を合併した患者への第一選択薬として選ばれます。

ARBの副作用

副作用には発疹、立ちくらみ、意識障害、腎不全、血管性浮腫(皮膚がはれる病態、主にくちびる、まぶた、舌など顔に症状があらわれやすい。)、高カリウム血症(血液中のカリウム濃度が高い状態で、嘔吐、しびれ、不整脈などが起こります。)などがあります。

また、腎機能や肝機能の低下が認められており、これらの症状が重症化している場合は注意が必要となります。

妊婦が服用すると妊婦と胎児の両方に悪影響を与えることが報告されているため、妊婦の服用は禁忌とされています。

ACE阻害薬とは?その作用と副作用について

ARBと同様に体内の血圧上昇システムに作用するタイプの降圧剤がACE阻害薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)です。

ACE阻害薬の作用

アンジオテンシンⅠに作用してアンジオテンシンⅡを生成する「アンジオテンシン変換酵素」の働きを阻害、アンジオテンシンⅡの生成を抑えて、血圧の上昇を抑制する作用をもちます。

ARBと作用は似ていますが、ARBはアンジオテンシンⅡの生成後に作用し、こちらの降圧剤では血圧上昇作用をもつ物質そのものの生成を阻害します。

しかし、アンジオテンシンⅡの生成はこれ以外の生成経路もあるため、この降圧剤ではアンジオテンシンⅡによる血圧上昇を完全にブロックできるわけではありません。

ARBと同様に心臓や腎臓の保護作用があるため、高血圧で併発しやすい臓器障害の保護に期待されて使用されます。

ACE阻害薬の副作用

特徴的な副作用に空咳(からせき)があり、他にめまい、血管性浮腫、疲労感、腎機能低下などが確認されています。

また、ARBと同様に妊婦の服用は妊婦と胎児の両方に悪影響があることから、妊婦の服用は禁忌とされています。

利尿剤とは?その作用と副作用について

降圧剤の中で最も安価で経済的なメリットをもつ降圧剤が利尿剤です。服用量が多いと副作用が起こりやすくなるため、少量での服用を基本とし、他の降圧剤との併用が多いです。

利尿剤の作用

血液量の増加による血圧の上昇を抑制するため、体内の余分な水分やナトリウムの排泄を促進、血液量を減少させることで血圧を下げる作用があります。

日本人に多い「食塩感受性高血圧」には効果的ですが、「食塩非感受性高血圧」には効果が薄いといわれています。

利尿剤の副作用

副作用にはめまい、動悸、便秘、嘔吐、脱水症状、低カリウム血症(血液中のカリウムが減少すると、痙攣、麻痺、嘔吐などの症状が起こります。)、耐糖能低下(血糖値が下がりにくく高血糖になりやすい。)、高尿酸血症(尿酸値が上昇し痛風の原因に。)など。

脱水症状、低カリウム血症、耐糖能低下、高尿酸血症などは降圧剤の服用量が多い場合に生じますが、服用量を調節することで予防することができます。

β遮断薬とは?その作用と副作用について

血圧上昇作用をもつホルモンに対して作用するのがβ遮断薬です。

β遮断薬の作用

緊張やストレスによって体内で分泌されるホルモン「カテコールアミン(カテコラミン)」は、2種類ある受容体(αとβ)のうちβ受容体を遮断し、交感神経を抑制することで血圧の上昇を抑えます。

現在、高血圧治療の第一選択薬からは除外されているため、使用頻度は少なくなっています。

β遮断薬の副作用

めまい、吐き気、倦怠感、不眠、徐脈(心拍数が異常に減少する症状)など、気管を収縮させるため喘息患者には使用できません。

また、糖代謝や脂質代謝を低下させるため、高齢者や糖尿病患者の使用には注意が必要です。自己判断で中断すると狭心症や発作を発症することがあるので注意が必要です。

α遮断薬とは?その作用と副作用について

β遮断薬と同様、血圧上昇作用をもつホルモンに対して作用するのがα遮断薬です。

α遮断薬の作用

カテコールアミン受容体のうち「α受容体」を遮断することによって、血管の収縮を抑制して血圧の上昇を抑えます。

β遮断薬と共に高血圧治療の第一選択薬からは除外されているため使用頻度は少ないです。

α遮断薬の副作用

初めて服用する場合はめまい、動悸、失神などを発症するリスクがあるので、最初は少量から服用して徐々に量を増やしていきます。

合剤とは?

2種類以上の薬剤を使用することを「併用療法」と呼び、血圧を下げる効果が1種類の降圧剤で十分でなかった場合は、ガイドラインの一覧表にもある通り、複数の降圧剤を併用します。

合剤(配合剤)のメリットは複数の降圧剤を併用することで相乗作用に期待でき、副作用の軽減にも期待できることや降圧剤の選択肢が増えるという点にあります。

実際に、カルシウム拮抗薬とARBの併用には優れた降圧効果があり、ARBと利尿剤の併用では利尿剤の副作用を軽減できることなどが明らかにされています。

デメリットは副作用が起こった場合、どの成分によるものなのか、成分間の相互作用によるものなのか、など副作用の原因特定が困難なことです。主に使用される合剤の組み合わせが以下の通りです。

  • カルシウム拮抗薬とARBもしくはACE阻害薬
  • カルシウム拮抗薬と利尿剤
  • ARBもしくはACE阻害薬と利尿剤

2種類の合剤でも効果がみられないときは、カルシウム拮抗薬とARBもしくはACE阻害薬と利尿剤の3種類、それでも効果がみられないときはβ遮断薬やα遮断薬などを追加します。

降圧剤による頭痛の原因

降圧剤で最も使用頻度の高いカルシウム拮抗薬には血管拡張作用があり、この血管拡張作用により拡張された血管が、周囲にある神経を刺激して頭痛を引き起こすと考えられています。

降圧剤の服用量を減らす、別の降圧剤に変更する、合剤を使用するなど対処法はありますので、頭痛がひどい場合は遠慮なく医師に相談しするようにしましょう。

降圧剤によるEDの原因

高血圧や降圧剤と関係の深いED(勃起不全)の種類は以下の2つがあります。

  • 器質性ED(高血圧などの血管障害によって発症)
  • 薬剤性ED(降圧剤などの薬によって発症)

器質性EDと高血圧の関係

高血圧になると全身の血管の状態が悪く、脳や心臓などの臓器だけでなく、陰茎への血流も低下することによってEDを発症するリスクが高くなるのです。EDの三大要因に数えられるほど、高血圧はEDと深いつながりがある病気なのです。

薬剤性EDと降圧剤の関係

高血圧を治療するために使用する降圧剤にもEDを発症するリスクがあります。それは、高い血圧によって維持されていた血液の循環を、降圧剤によって無理矢理血圧を低下させたため、血液の循環が低下、陰茎への血液循環が不足するということにつながるのです。

降圧剤とバイアグラの併用はNG?

ED治療薬として有名なバイアグラですが、バイアグラは血管に作用して血管を拡張させることで、陰茎への血流を促し改善するという働きがあります。

バイアグラの作用と降圧剤による血圧降下作用が重複すると、血圧が低下しすぎる場合があるのです。

降圧剤にもたくさんの種類があるため、全ての降圧剤で生じる問題ではないようですが、バイアグラを併用する際は医師と相談するようにしましょう。

降圧剤の飲み忘れに注意!

降圧剤は血圧のコントロールは楽ですが、毎日飲まなくてはならないというデメリットがあり、高齢者は特に降圧剤の飲み忘れが増えやすくなるといわれています。

降圧剤を1回飲み忘れた場合について心配される人が多いですが、1回の飲み忘れでは降圧効果が切れて急激に血圧が上昇するといったことはありません。

降圧剤を飲み忘れた場合は、1日1回服用の場合で約6時間程度、1日2回服用の場合で約3時間程度、1日3回服用の場合で約1時間程度を目安に、その時間以内であればすぐに服用し、その時間を越えているようであればその1回は服用をやめておきましょう。

また、飲み忘れたからといって次回の服用を2回分にしてはいけません。降圧効果が強くなり血圧が下がりすぎてめまいや低血圧の原因になります。

降圧剤で血圧が下がりすぎる場合は?

どのような薬でも体に合う薬ばかりではありません。

降圧剤でも同じように高血圧患者にとって適度な血圧を維持するために、体に合う降圧剤を見つけるのは難しく、なかなか決まらないことが多いといわれています。

医師の指示通りに服用しても血圧が下がりすぎる場合は、体に合わない場合や薬の効力が強すぎる場合があるので、迷わず医師に相談することをすすめます。

降圧剤は高い血圧を薬の効力で無理矢理下げて、危険を回避する目的で使用されますが、血圧が高くなることにも意味があり、それを無理矢理下げることにリスクがないわけではないのです。

だからこそ適度な血圧を維持する必要があり、適切な降圧剤を処方してもらえるように医師との連携が重要になってくるのです。

納得の検証結果がおすすめの理由!

リケン(理研ビタミン株式会社)のヘルスケア事業部長、農学博士の仲野隆久先生によると、収縮期血圧140~160mmHg、拡張期血圧90~100mmHg程度の18名を対象に「わかめペプチド」を8週間にわたり1日1個のペースで食べてもらった結果、約2週間目から血圧が安定し始めることが認められています。